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しゅりんぷ池田のひとくちコラム!

第38回:セ・パ両リーグで活躍した選手の記録

日本ハムのファイターズというニックネームは"ファイター"大杉勝男にちなんで付けられたものだったのですが、その大杉さんが同球団に1年しか在籍できなかったのは、なんとも皮肉です

 先日、楽天の山崎武司選手が今季30号を放ち、これがパ・リーグでの通算100号目で、両リーグで100本塁打を達成した8人目のバッターとなったそうです。これはかなり稀少な記録ですね。一度はオリックスを自由契約となり、引退を考えたこともあった山崎選手の記録だけに価値があります。

       セ     パ  ※( )内の数字は実働年数
清原和博 185(9)  340(12)
落合博満 263(10) 247(10)
大杉勝男 199(9)  287(10)
田淵幸一 320(10) 154(6)
山内一弘 134(7)  262(12)
山崎武司 185(14) 101(5)
レオン   138(5)  130(5)
島谷金二 117(8)  112(6)

 かつてはトレードも不活発で、生涯成績が200本塁打を超えるようなスラッガーが移籍することは稀だったためなのでしょう。そして、よくよく見てみると、両リーグで200本塁打以上しているのは、現中日監督の落合博満ただ1人。

 亡くなった大杉勝男さんがあと一歩及ばず、引退セレモニーのスピーチで、「あと1本を皆様の夢の中で打たせて頂きますれば、これに優る喜びはございません」と述べたのは有名な話ですが、両リーグ200ホーマーは本当に難しい記録です。

 通算20年プレーしたとして、前半10年で200本塁打してから30歳前後に異リーグに移籍。そして、後半10年で200本塁打というキャリアプランになるわけですが、かつてはそんなに簡単にチームを移らなかったですからね。

 大杉さんの場合を考えても、70年、71年と2年連続でホームラン王を獲得した東映フライヤーズの看板選手で、トレードなど考えられない選手なのですが、チームの身売りという混乱の中、戦力一新ということで日本ハムからヤクルトに移籍したのが30歳となった75年のこと。

 ところが、大杉さんはここで大スランプに陥り、このシーズンは13本塁打したのみ(その辺の本塁打数の推移は今回掲載している「本塁打列伝」のカード裏のグラフをご参照ください)。それまで6年連続でフル出場を続けていた連続出場がストップして、当時の荒川博監督との確執が囁かれたりもしました。大杉さんほどの打者でも、やはりリーグをまたいだトレードは危険なのです。

 そのリーグの壁を易々と乗り越えて、セ・パ両リーグでホームラン王を獲得した初の打者となった落合博満の記録はやはり際立ちますが、FA制度が導入され最速9年で自らが望む球団に移籍できるようになったため、この両リーグ100本塁打、200本塁打を達成する選手も、もっと増えるかもしれません(小笠原道大あたりに期待)。ただ、そこまで数字を残す選手となると、今度は海外流出の可能性も大きくなってくるのですが…。

しゅりんぷ池田
1965年7月3日生。香川県出身。カルビー、エポック社にてカードの制作に当たる。現在はBBMカードの編集にたずさわる一方で、「週刊ベースボール」「スポーツカード・マガジン」などにも寄稿している。
Webサイト: http://www.bea.hi-ho.ne.jp/comp/
ブログ: http://www.plus-blog.sportsnavi.com/shrimp/

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