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しゅりんぷ池田のひとくちコラム!

第39回:「スポーツカード・マガジン」の9月号が発売となりましたが、もうお買い上げいただいたでしょうか?

「アレ? こうして見ると、夏の甲子園は全試合でヒットを打っているんですね」と語っていた鵜久森選手。自分の活躍は意外に覚えていないもの?

 「スポーツカード・マガジン」の9月号が発売となりましたが、もうお買い上げいただいたでしょうか?

 今号は、有名な王貞治選手の756号を打った瞬間の写真が表紙に使われており(8月末に発売となる「本塁打列伝」の同選手のカードにも、この写真が使われています)、インパクトのある表紙となっているので、いつも書店ではそんなに目立たないところに並べられている同誌が、珍しく平積みされていたりして、うれしいですね。

 その同誌の好評連載、「ファーム☆一番星!」の今号のゲストは日本ハムの鵜久森淳志選手。そのインタビューの中で、同選手が05年の日本ハムカードのF76のカード裏面に同選手の甲子園での全成績が載っているのを発見して、「これは面白いですね」と言ってくれているのですが、そう、そのシリーズの編集を担当したのはわたし。そう言ってもらえるとうれしいですね。

 このカードは同年の「期待の新戦力」を特集したサブセットの中の1枚なのですが、05年のドラフト1位がダルビッシュ有で、同8位が鵜久森。両選手とも高校野球で大活躍した甲子園のヒーローだったので、その戦績を裏面に盛り込むことにしたのです。

 2年春から4期連続して甲子園に出場し、2年夏には決勝進出、3年春にはノーヒットノーランまで達成したダルビッシュに対して、鵜久森は3年の春夏と甲子園には2回しか出場していないのですが、その戦績はダルビッシュに勝るとも劣りません。

 3年春には初出場で初優勝、夏も準優勝で、春2本、夏3本のホームランを放ち、甲子園通算5本塁打は清原和博の13本、桑田真澄、元木大介の6本に次ぎ、香川伸行、平田良介と並ぶ歴代4位の好記録なのですが、ドラフト前の鵜久森の評価はそんなに高くありませんでした。守備・走塁がもうひとつで、自慢の打撃もプロレベルでは通用するだろうか? という疑問符が付けられ、直前予想でも「Cランク」評価とするところがほとんどでした。

 187cmと長身の右の長距離砲で小顔でルックスも良く、珍しい名前もインパクトがあって(プロ野球選手は珍名さんの宝庫! http://www.sportsclick.jp/sportscard/column01/index33.html)、スター性があると期待していたのですが、意外な低評価にがっかりしてしまいました。しかし8位指名と下位ながらドラフトにかかり、日本ハムに入団。しかも、ファイターズは、この未完の大器を1年目からファームの四番に据えて使い続け、鵜久森も1年目から8本塁打と非凡な活躍を見せます。イースタンリーグの成績は

 05年  88試合 64安打 8本塁打 34打点 90三振 打率.228
 06年  89試合 78安打 4本塁打 35打点 99三振 打率.228
 07年  59試合 58安打 9本塁打 36打点 55三振 打率.267

 という感じで、相変わらず三振は多いのですが、課題だった確実性はかなり改良されてきています。

 「右の和製大砲」というのは、どのチームも喉から手が出るほど欲しい存在といいます。欠点はあるものの、あえてその部分は目をつぶって使い続けてくれている球団の期待に応えてもらいたいものですね。頑張れ! 鵜久森選手!

しゅりんぷ池田
1965年7月3日生。香川県出身。カルビー、エポック社にてカードの制作に当たる。現在はBBMカードの編集にたずさわる一方で、「週刊ベースボール」「スポーツカード・マガジン」などにも寄稿している。
Webサイト: http://www.bea.hi-ho.ne.jp/comp/
ブログ: http://www.plus-blog.sportsnavi.com/shrimp/

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