ホーム > 陸上

陸上

陸上 NARUHODO!the HISTORY 〜歴史を知れば、もっと競技が楽しくなる〜

このコーナーでは、陸上の歴史にスポットをあてていきます。自分の得意種目にも、意外と知られていないエピソードがあるもの。ここではそんな話題の数々をご紹介していきます。

尾縣 貢(筑波大助教授)
Illustration byイシヅカ千鶴子

第4回:混成競技採点表にも歴史アリ

第4回:混成競技採点表にも歴史アリ

 「十種競技100mの結果、1着1レーンA君11秒50、その得点753点」というようなアナウンスを競技会で耳にしたことはあるでしょう。陸上競技では、タイムや距離といった測定記録で勝敗を競いますが、混成競技だけは例外で、体操競技、フィギュアスケート、シンクロナイズドスイミングなどと同様に得点によって順位を決めています。ただし体操競技などの得点は、審判が主観的に判断するのですが、混成競技では決められた採点表によりタイムや距離といった測定記録を得点に換算します。そのため採点表は公正なものでなければならず、今までに幾度もの改正が行われてきました。

そのうちの主な採点法を紹介しましょう。

五輪記録からの減点法でスタート

 1911年に現行の十種競技がスタートした時に採用され、翌年のオリンピック・ストックホルム大会で用いられた採点法は、1908年のロンドン大会までの各種目のオリンピック記録を1000点として、減点法により得点を決めたものです。例えば100mでは0.1秒につき○点、走幅跳では1cmにつき○点、やり投では10cmにつき○点を1000点から引いたというわけです。この採点法は、小数点以下3ケタまで算出する複雑なものでした。
 1934年からは記録が高くなるにつれ、0.1秒、1cmに与えられる得点が大きくなる採点法が採用されました。この採点法では主観的な判断で0点から1150点の範囲で得点が決められていました。続いて1952年から使われたものも1934年のものと同じような得点増加パターンを示すものでしたが、主観的判断というよりむしろ統計的なものが基礎となったようです。

データ分析に基づく採点表の出現

 1962年に採択された採点表は、莫大な量の競技成績データを分析し、得点を決めたものです。トラック種目では記録が高くなるにつれて0.1秒に与えられる得点が大きくなる傾向を示し、逆にフィールド種目では記録が高くなるにつれて1cmに与えられる得点が小さくなる傾向を示していました。この採点表は、従来の混成競技の歴史で最も科学的で公正という評価を受けましたが、一方でトラック種目とフィールド種目の得点増加パターンが異なるという批判もありました。また、棒高跳で得点が得やすく、1500mで得にくくなっていました。ちなみに1500mでは4分02秒が800点、一方の棒高跳では3m98が800点と、どう考えても不公平なものでした。

より公正な採点表へ

 1962年の採点表の短所を改め、より公正なものを目指したのが1985年の改訂です。この採点表では、トラック種目、フィールド種目とも記録が高くなるにつれて0.1秒、1cmに与えられる得点が大きくなる傾向を示しており、これによりトラックとフィールドの較差は修正されたといえます。また、棒高跳と1500mの得点が大きく変更されており、800点は1500mでは4分21秒77、棒高跳では4m64。種目間の得点の得やすさの較差も、ほぼ解消されています。
 混成競技には採点表に基づき総合得点で競うという単独種目では味わえない面白さがあります。一度、チャレンジしてみて下さい!

<< 第3回陸上TOP第5回 >>