Vintage Paradise! ヴィンテージ★パラダイス!
時が経つほどのその価値が上がるワインでは「ヴィンテージ=年代物」と訳される。そして、テニスの世界でも数年前から「古くて価値があるもの」としてヴィンテ−ジラケットが注目されている。このコーナーでは、美しく、価値があり、そしていまだ現役としても活躍する名作ラケットの数々をご紹介していきます。
※この内容はテニスマガジンに連載されたものです。
太田稔(おおた・みのる)
テニスパラダイス代表。ヴィンテージラケットの目利き。JPTAとUSPTAの公認インストラクターでもある。日々、店が情報発信基地になるようにアンテナを立てている。
第8回:Pro Kennex BLACK ACE(プロケネックス ブラックエース)
ミッドサイズの決定版! 飛ぶように売れた“プロケネ”のロング・セラー
1980年に誕生したこのラケットは爆発的な人気を誇った。時代はウッドからグラファイトへの移行期、誰もが新しい何かを求めていたのかもしれない。そこに現れたのが『ブラックエース』だった。デカラケへの抵抗感もあり、ミッドサイズの決定版として売れに売れた。80年代前半、そしてプロケネックスを代表するラケットだ。
「ミッドサイズ――それは栄光を手に入れるための勝利サイズだ」
80年代前半のテニスマガジンのバックナンバーを読み返してみると、『ブラックエース』の広告にはそんな謳い文句が記されている。「メリットがあることはわかってはいるけど、デカラケを使うのは嫌なんだよなぁ・・・・・・」。当時、そんなテニスファンが、こぞって手にしたラケットが、この『ブラックエース』だったのだ(『スポルディングGC−20』も同じくらいの人気を誇った)。パワーヒッターにも、テクニシャンにも愛され、テニスコートに行けば、誰かひとりは使っていたように思う。
オールカーボングラファイト、7層からなる積層構造により、ねじれに対する強さは抜群という特長だったが、それよりも印象に残るのは“対レギュラー比20%アップ”というキャッチコピー。レギュラーサイズからひと回り大きくすることで、スイートスポットが20%も拡大し、パワフルで正確なコントロールを実現するというものだが、これがファンの心をくすぐったのかもしれない。非常に息の長いラケットだった。『ブラックエース』という言葉の響きは重く、このラケットは特に男性の中級〜上級者がよく使っていた記憶がある。トッププロでは、アメリカのブライアン・ティーチャー、そしてスウェーデンのヘンリック・サンドストロムが使って活躍していた。
『ブラックエース』のほかに『シルバーエース』、『ゴールデンエース』など、多くのシリーズが発売されたが、『ブラックエース』には当然のことながら及ばなかった。ちなみに『シルバーエース』はデビュー当時のナタリー・トージア、グレン道端、西谷明美が使っていた。80年代中盤にはマイナーチェンジした『ニューブラックエース』も発売されたが、大きな変化はあまり見られなかった。
20年もの長い間、プロケネックスを使っていたプレーヤー
ナタリー・トージアという選手を覚えているだろうか。女子では数少ないネットプレーヤーだったフランスの選手だ。トージアがグランドスラム大会でデビューしたのが17歳、84年のフレンチ・オープンだったが、以後、2002年に引退するまでの20年間、彼女が愛用し続けたラケットが実はプロケネックス。トッププレーヤーの中では唯一の契約プロだった。自己最高世界ランクは00年にマークした3位、グランドスラムの最高成績は98年ウィンブルドンの準優勝。ちなみに、このとき使用していたのはキネティックという中厚ラケットだった。
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| レギュラーサイズが徐々にミッドサイズに姿を変え始めた頃、いち早くベストセラーモデルとなった『ブラックエース』 | 『ブラックエース』ほどの人気はなかったが、多くのファンが使用した『シルバーエース』 | 『ブラックエース』のマイクロシステム。ストリングパターンが小さく、ストリンガー泣かせのテクノロジーだった!? |
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| 7つの層からなるウッドが生み出すしなりと腰を、グラファイトが強力にグリップした『ゴールデンエース』。 | 『ブラックエース』の影響もあり、プロケネックスは80年代、日本の多くのファンに愛された。 |
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