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しゅりんぷ池田のひとくちコラム!

第36回:引退選手のカード制作で要注意の“一軍試合出場なし”

かつての盟友・桑田真澄は海を渡って復活を果たしましたが、清原は、いかに?

 今季22年目の大ベテラン、清原和博が岐路に立たされています。左ヒザの手術からの回復が思わしくなく、今季はいまだ一軍に上がって来ていないどころか、ファームの試合にも出場していません。5月には本人から引退をほのめかすような弱気な発言まで出て、心配なところです。

 このまま一軍未出場のまま終わることもありえるわけですが、清原ほどのビッグネームが支配下選手登録されながら、現役最終年を「一軍試合出場なし」で終えるとしたらかなり珍しい例だと思います。

 もちろん、最後まで現役にこだわって、粘り強く現役を続けたものの、力及ばず、現役最終年が「一軍試合出場なし」となってしまう例は多々あるのですが、名球会クラスの選手では、かなり珍しいケースのはずです。

 わたしの知っている例では、元阪急の足立光宏投手(通算187勝)が現役最後の1980年に選手登録(二軍コーチ兼任)されながら一軍未出場に終わったという例ぐらいですかね。

 しかし、「投手兼二軍投手コーチ」というのは、ひどい話ですよね。はなから一軍で投げることを期待されていない配置なのですが、実は最近も2004年に広島の瀬戸輝信捕手が「捕手兼二軍バッテリーコーチ」の肩書きで、一軍に1試合のみ出場して現役を退いたというケースがありました。

 引退した選手のカードを作る際には、こういう場合、注意が必要です。レコードブックには一軍での成績しか掲載されていないので、最後の1年現役であったことを見落としてしまうからです。「足立光宏 阪急(59〜80)」とすべきところを「足立光宏 阪急(59〜79)」としてしまいがちなのです。

 逆に、入団当初、一軍に出ていない場合も、やはりレコードブックには記録の記載がないので、これも注意が必要です。ドラフト制施行以降は、何年のドラフトで指名されて入団したかが記されているので大丈夫ですが、それ以前の自由競争時代は見落とす可能性があるので、要チェックです。

 実は、最近も西武ライオンズのカードを作っていてプロフィールデータの確認をしていたら、名鑑のミスを発見しました。西武の土井正博ヘッドコーチの履歴が「大鉄高中退−近鉄(62〜74)−太平洋・クラウン・西武(75〜81引)」となっていたのですが、同コーチは61年に大鉄高を中退して近鉄に入団しています。1年目の61年は一軍未出場だったために、見落とされたものと思われます。

 自分も、こういうミスがないように、極力注意はしているのですが、時としてこういう見落としが起こってしまうので、気を付けたいものです。

 ところで、土井コーチといえば、清原選手が西武に入団したころ打撃コーチを務めていた師匠格。近鉄時代、主要打撃タイトルに縁がなく、「無冠の帝王」の異名を取った(太平洋に移籍した75年にホームラン王を獲得)土井コーチですが、愛弟子の清原がそのニックネームを引き継いでいるのはなんとも皮肉。復活を期待したいですね。

しゅりんぷ池田
1965年7月3日生。香川県出身。カルビー、エポック社にてカードの制作に当たる。現在はBBMカードの編集にたずさわる一方で、「週刊ベースボール」「スポーツカード・マガジン」などにも寄稿している。
Webサイト: http://www.bea.hi-ho.ne.jp/comp/
ブログ: http://www.plus-blog.sportsnavi.com/shrimp/

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