ホーム > スポーツカード&メモラビリア

スポーツカード&メモラビリア

しゅりんぷ池田のひとくちコラム!

第29回:ドラフト2位指名で競合した田中賢介選手

9選手のジャージーカードを各200枚封入!

 現在、4月下旬発売の北海道日本ハムファイターズのカードセットの制作を進めています。ダルビッシュ有、金村曉、武田久、八木智哉、MICHEAL、田中賢介、金子誠、森本稀哲、稲葉篤紀の9選手をピックアップしたカードセットなのです。

 で、カードに入れる原稿を読んでいて、田中賢介のところで「99年秋のドラフトで3球団が競合」という箇所が出てきて、ああ、そうだった…と思い出しました。このとき、田中はドラフト2位ながら、日本ハム・西武・中日の3球団が競合し、大島康徳新監督が当たりクジを引いたのでした。

 ドラフト1位の選手が複数球団の競合となるケースは、89年の野茂英雄と90年の小池秀郎の8球団、95年の福留孝介の7球団のようにままあります。ドラフト2位以下で3球団以上が競合するケースは例が少ないものの、川相昌弘(82年の4位で、巨人・ヤクルト・近鉄が競合)、池山隆寛(83年の2位で、ヤクルト・近鉄・巨人が競合)のような成功例があるので、この選手もなかなか期待できそうだぞ、と思ったものでした。そして、日本ハムが田中賢介に与えた背番号が「3」と、球団の期待の高さも感じられました。

 同選手の1年目はイースタンの全100試合中80試合に出場して、98安打、6本塁打で打率.313は同リーグの打撃ベストテンの8位という素晴らしい成績を収め、2年目からは一軍でも毎年100打席以上立っていたのですが、04年、05年はそれぞれ、21試合、22試合と出場機会が激減。04年のシーズン途中にはデッドボールで骨折もして、負のスパイラルに落ち始めた感がありました。

 「守備に難があって、一軍では守るところがない」「覇気がないので、首脳陣の受けがよくないらしい」なんて噂も聞こえてきます。05年はイースタンで65試合に出場して16本塁打、49打点、打率.307(ベストテンの4位)という頭抜けた成績を残したものの、このまま「二軍の主」みたいな存在になってしまわないか心配していたのですが、それも杞憂に終わりました。

 前年の最終戦で代打サヨナラホームランを放ったのが、導火線になったようで、06年シーズンは、プロ7年目で初めて規定打席に到達して打率.301(ベストテンの12位)、犠打34はリーグ最多で盗塁も21。「守備難」と言われながらも、ゴールデングラブ賞にも選ばれました。

 しかし、「覇気がない」というのは、田中賢介を語る上で必ず出てくる言葉なのですが、みんながみんな「元気ハツラツ!」でなくたっていいじゃないですかね? センスの良い選手は、ガムシャラにプレーしなくても出来てしまうので、クールに見られてしまうのでしょう。

 開花に時間はかかりましたが、今年でまだ26歳。今は二番打者を務めていますが、ゆくゆくは主軸も担える器だと思っています。今季も頑張れ!

しゅりんぷ池田
1965年7月3日生。香川県出身。カルビー、エポック社にてカードの制作に当たる。現在はBBMカードの編集にたずさわる一方で、「週刊ベースボール」「スポーツカード・マガジン」などにも寄稿している。
Webサイト: http://www.bea.hi-ho.ne.jp/comp/
ブログ: http://www.plus-blog.sportsnavi.com/shrimp/

<< 第28回スポーツカード&メモラビリアTOP第30回 >>