スピードアップが目標
投球練習を始めてまだ1か月。そんな林さんを気遣うように吉村先生は雑談から始める。これまではどこを守っていて、何番を打っていて、指導しているのはどんな先生? 矢継ぎ早の質問に答えているうちに林さんの緊張も少しほぐれたようだ。吉村先生はそれを待っていたかのように、講習を開始した。
まず林さんに今回の目標を聞くと、次の3点を挙げてくれた。
1.スピードアップ
2.とにかくストライクが取れるようになる
3.コントロールをつける
林さんの投球を数球見たところで「ある程度重心を残すような投球フォームはできていますね」と吉村先生。第1印象としてはまずまずのようだ。だが、やはり初心者の域を出ていないところも多い。それは悪いことではなく、むしろこれからいくらでも吸収することができるという点ではメリットである。
「林さんは教えたことを素直に聞いてくれるから、とてもやりやすいですよ」と吉村先生。そして「これだけは頭に入れておいて」と前置きしてこうアドバイスした。
「ソフトボールを勉強するのに、本もビデオもたくさん出ていますよね。私も何冊も書いています。でも、そこでいくら説明してもしきれないものがある。それは“音”なんです。今日はせっかくこうして来ていただいたので、音をよく聞いてくださいね」。
最上級生になる責任感から投手を始めた
林さんは神田女学園高の2年生。小学4年生、10歳の時にソフトボールを始めた。持ち前のソフトボールセンスは打撃で生かされた。神田女学園中学校から同高校へと進学したが、これまで投手をする機会はなかった。それでもピッチャーをやってみたいという漠然とした思いはずっと持ち続けていたようだ。
投手に挑戦することになったきっかけはチーム事情。この夏、3年生が引退すると、チームには投手が1人しかいなくなってしまうのだ。自分が何とかしたいという責任感が、林さんを動かした。
「元々、ピッチャーをやりたいという気持ちもありましたし、チームも投手1人では苦しくなると思うので投球練習を始めました」。
今回の受講についても、部の顧問である渡部真由美先生に相談したところ、快くOKを出してくれたという。
打線ではクリーンアップを任されている林さんだが、これからは投打両面で活躍を目指す。 |