変化球マスターが目標
今回の受講者は大阪在住の谷口徹さん。週末を利用してこの講習に参加した。
開始時刻の30分ほど前にグラウンドに到着すると、友人の河合恒夫さんを相手にさっそくキャッチボールを始めた。
谷口さんと河合さんはかつて同じチームでプレーしたこともある間柄。河合さんは現在、仕事の関係で東京に住んでいる。この日は友人代表として応援に駆けつけてくれたのだ。
互いによく知る相手だけに、ウォーミングアップもスムーズに…と思ったら、谷口さんのボールはあっちへ行ったりこっちへ行ったり。まったくコントロールが定まらない。谷口さんは「緊張してしまって…」と苦笑い。
必要以上に緊張するのも無理はない。実は谷口さんは、サインをもらうために先生の著書を持参するほど、吉村先生のファンだったのだ。
「ちょっとランニングでもしてきます」。まずは走って体を温め、少しでも緊張感を和らげることにした。吉村先生が現れる頃にはだいぶ落ち着いたようだ。
吉村先生は谷口さんのボールを数球見ると、今回の受講の目的をたずねた。
「ヒジをぶつける感覚がわからないのと、ライズやチェンジアップといった変化球を覚えたいんです」と谷口さん。自己流で投球を学んだため、これまで変化球を身につけることができずにいたのだ。
「もう一度全国大会へ」
谷口さんがソフトボールを始めたのは、24歳のときだった。職場の同僚に、なかば強制的に参加させられたのがきっかけだった。それまで野球の経験もなかった谷口さんは、最初、ファーストやライトといったポジションを守った。
「私は足も速くなかったし、しょっちゅうエラーはするし、決して楽しくはなかった」と当時を振り返る。
ところがある時、ピッチャーをしていた先輩が「最近、こんな投法がある」と、変わった投げ方を教えてくれた。それがウインドミルだった。試しに投げてみると、自分でも思いもよらないほどにスムーズに腕が回り、驚くほどのスピードが出た。
それ以来、ウインドミルをマスターするため、毎日のように練習するようになった。試合で打たれては、また練習した。時には味方から野次られることもあったというが、練習をやめなかった。
嫌々ソフトボールをしてきた谷口さんだったが、いつのまにか「ソフトボールとの出合いで私の人生は変わった」とさえ言えるほどの、大事な存在になっていた。
当時ウインドミルの投手はあまりおらず、これをマスターした谷口さんは試合で結果が残せるようになったのだ。
40歳を過ぎて新チーム『フォーティーパワーズ』を結成。昨年は大阪大会で準優勝し、念願だった全国大会『2003スポーツマスターズ和歌山大会』へも出場を果たした。ところがあえなく1回戦で敗退してしまう。ストレート1本で押す投球は、全国大会では通用しないことを知った。
「もう一度全国大会へ」。これを大きな目標に掲げ、この講習に参加することを決意した。
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