チームの事情で3年前に投手に転向
大野さんはソフトボール選手としてのほとんどをショートでプレーしてきた。中学3年生の時には三番を打ち、県大会で第3位の成績を残した。
高校卒業後は、一時ソフトボールをやめた。再びプレーしたくなったのは、結婚、出産をした後のことだった。
ブランクのある大野さんが入れそうなチームを探Lているうちに、知り合いの紹介で現所属チームの東村山愛好会に出合う。それから4年間は、慣れ親しんだショートを守った。チームはちょうどその頃、地元4市(東村山・東久留米・小平・清瀬)の大会で2連覇を果たした。
だが、もともと部員が多くない上に、それまでのエースがチームを離れたこともあり、大野さんに経験のない投手の重責が回ってきた。
「中学や高校でバッティングピッチャーをやったことがある程度でした」(大野さん)。それがいきなりチームのエースになった。投手として、もう一度優勝を経験できるかどうかは、この講習にかかっている。
まずは片足ピッチングで腕の使い方をマスターする
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| まずは片足ピッチングを徹底練習。大野さんは一人黙々とこの練習に取り組み、講習の最後には大きな成果を上げた |
大野さんの悩みである「投球フォームを安定させる」ためには、1にも2にも片足ピッチングを繰り返すことだ。
右投手なら左肩を捕手に向けるようにして立ち、ウインドミルで放ったボールを自分のミットで受ける。この時の注意点は、ヒジを腰に当てること。
この片足ピッチングは、一人でも手軽にできるし、ウインドミルの腕の動きを固めるのに効果的だ。
「重心を軸足に残して、右ヒジを腰にぶつけるようにする。この腰の回転は、バッティングの時と同じです」と吉村先生はアドバイスを送る。野手経験の長い大野さんにとって、バッティングに例えられることは分かりやすいようだ。すぐにうまくできるようになった。
だが、その形を自分のものとして固めることが大切。吉村先生は、他の受講者とは別に、大野さんには一人でこれを繰り返すように指示を出した。
「練習時問は長いですから、途中で力を抜いたり、休んだりしながらでいいですよ」。吉村先生は大野さんにそう声をかけた。
これができれば、いつまでもソフトボールができる
「これまで、腰に当てて投げるというピッチングを教わったこともないので、当然やったことはなかった」という大野さん。それでも練習開始から1時間たった頃には、だいぶ感覚をつかんできたようだ。「何球かは、ああこれか、という感覚で投げられたボールはありました。そういうボールが増えてくれば成功ですね」。
そうはいっても、3年間、腕の回旋だけで投げていたフォームを修正するのは並大抵のことではない。「まだ腕が体に当たるということに抵抗もあるんです」という本音も。それに対し、吉村先生は「今このフォームを覚えることで、60歳になっても70歳になっても投手ができますよ」とアドバイスした。
今年59歳になる吉村先生は、その言葉を証明するように楽々と鋭いボールを投げ込む。その意味を大野さんは練習後に実感することになる。
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