グレードアップ技術特集
第1回:ロビングを使いこなせ! Part1
ロビングと言うと、特にパワーのある男子選手は“守り”というイメージを持っていないだろうか? 確かに“守り”で使うロビングもあるが、見方を変えれば、実は有効な攻撃の手段にもなるのが、ロビングなのだ。そこでここでは、ロビングの展開が多くなるインドア大会をものにするためだけでなく、アウトドアでも、よりテニスの幅を広げるために重要な『ロビング』について勉強していこう!
解説:小牧幸二(こまき・こうじ)
1970年11月17日、大阪府生まれ。上宮高→天理大卒。藤善尚憲監督のもと10年間天理大のコーチを務め、現在は、母校・上宮高校で教鞭をとるかたわらソフトテニス部の指導にあたる。高校時代は2年生になる87年の春の高校選抜で上宮高の初の全国制覇を達成、同年夏のインターハイは団体2位。天理大では、3年時(/梅田)、4年時(/本倉)とインカレ個人戦2連覇を成し遂げた。
Lesson1 ロビングはなぜ必要か?
ソフトテニスの場合は、やはり平面だけでなく、立体的にテニスをしなければ勝負に勝てません。その立体的なテニスをするためには、ロビングは必要不可欠なストロークなのです。
シュートボールを打つことも大事なことですが、私自身はロビングで“攻撃”できるという部分を一番大切なことだと認識しています。また、攻撃のみならず、ロビングを使うと、ゲームの中で相手の様子を見て試合を進めることもできます。それによって、自分の中でゆとりを持てる部分というのも、非常に大きいでしょう。実際、私もかつては天理大でコーチもしていましたが、シュートボールが上手な選手でも、結局、試合に勝っているときというのは、ロビングがうまく使われているときなのです。得意なシュートを生かす意味でも、ロビングを使って立体的にテニスをすることが必要です。
Lesson2 ロビングは“守り”か? “攻め”か?
ロビングと言うと、シュートが上手な選手からすると“守り”のストロークという印象があるかもしれません。しかし、例えばバスケットのように“ディフェンス”か“オフェンス”かで考えるなら、私はロビングは、“オフェンス=攻め”の方であると思っています。シュートで速いボールを打つことも大事ですが、深く大きいロビングをドライブ回転をかけて打つ方が、より攻撃的であるという発想です。
シュートを打つことも、すごく良いことだと思いますが、やはりコンスタントに上位に食い込んでくる選手と言うのは、ロビングが上手なものです。現在のトップ選手で言えば、菅野創世選手(明治大)などは速い球でポイントを取るわけではありませんが、ロビングを上手に使って戦うので、見ていてもテニスがおもしろいですね。また、私の“ロビングで攻撃できる”という考え方に、ひとつの答えを出してくれたのが、天理大で4年前(02年)に、現岡山市役所の川村達郎選手とのペアでインカレ個人優勝を果たした関根裕行選手です。彼などは、大学に入った当初は乱打もろくにできませんでしたが、ロビングを覚えたことによって、4年生で大学チャンピオンにまで上り詰めたのです。
Lesson3 インドアはなぜロビング展開が多い?
インドアの場合、やはり体育館などのコートサーフェスでは、ボールがワンバウンドしてからの弾みが、外のクレーや砂入り人工芝のコートに比べると、高く上がるという特徴があります。そのため、後衛にとっては相手の前衛が視界に入ってくるということが多くなります。そうすると、後衛の意識の中にどうしても、「相手前衛に何かされるのではないか」というような部分が働いてしまうものです。特に、レベルが高くなってくれば、前衛も平気で真ん中のポジションに立ったり・・・ということもしてくるもの。そのため、前衛と後衛の駆け引きの部分が多くなり、結果、ロビングの展開が多くなるのではないかと思います。
Lesson4 ロビングの種類
ロビングは、(1)攻めるロビング、(2)つなぐロビング、(3)受けるロビング、があります。(1)攻めるロビングは、基本的には相手後衛のバック側に展開して攻撃するロビング、(2)つなぐロビングは、相手後衛の前に上げて様子を見るロビング、(3)受けるロビングは、相手にシュートを打ち込まれたときやロビングを深く返されたときに、ベースラインを狙ってきちんと返すロビングです。
いずれにしても、基本的に一番良いのは、ボールにドライブ回転がかかっているロビングを打つことです。その次には、どんな状況であっても、相手コートのベースライン目がけて上げられること。相手にいいボールを打たれたときでも、とりあえず対応として深いところへ返せれば良いでしょう。そして、ドライブ回転のロビングが打てるようになったら、同じロビングでも高低をつけて打ったり、コントロールをして引きつけて打つのとテンポ良く打つのとを打ち分けられれば、さらに良いと思います。
Lesson5 有効な使い方
やはり、シュートボールが打てないことには、ロビングは生きてきません。そこでシュートボールを打つ中で、私自身は相手のバック側、自分から見れば右側の方向へボールを集めるということを意識的に指導しています。女子では広島女子商業学園などがやっていますが、それは男子でも同じです。そうすることによって、相手の前衛の意識がどうしても“上”に行く部分が出てくるので、前衛が的を絞りにくくなります。そこで相手にスキが出てきたところを、シュートなどで突いて攻めるのです。つまり、ロビングを使ってこのボールを打ったら、それによって相手の前衛の動きがどのようになるかを考える。そこで最終的に、「ここが空く」という部分がわかったら、そこの隙間を突いて打つ……という発想をするわけです。
ソフトテニス・マガジン2006年4月号掲載

ソフトテニス・マガジン
