

跡見学園短期大学芸術科卒業。横浜栄養専門学校栄養科卒業。平成6年より専修大学アメリカンフットボール部のメディカルスタッフとして栄養指導を始める。1998−2004年まで中央大学水泳部(含OB)、現在は東海大学陸上部短距離(含OB)、スケートの岡崎朋美選手、陸上の末続慎吾選手などアスリート、指導者、ご父兄などにレクチャーや講演を中心に活躍中。
成長期に正しい栄養素を理解していないと、いくら運動しても成果は上がりません。むしろ身体を痛める結果になってしまいます。どんな栄養の摂取の仕方を行えばいいか、スポーツ栄養アドバイザーの石川三知さんからアドバイスしてもらいました。


成長期でスポーツを行う意義には、元気でたくましく育ってほしい、という願いとも重なります。しかし、運動のリスクも理解しないと身体にダメージを残します。その理由は、運動をするとエネルギー源が減少、骨や筋肉などの組織に細かな傷がつきます。その結果、十分に身体を作り上げる材料が入っていないと、細かな傷を治したところで止まってしまい、発育不全のような状態に繋がることがあるからです。
私はトップアスリートもサポートしています。しかし、子供の頃、栄養が十分でなかったため、若いにも関わらず古傷になってしまっているケースをときどき見かけます。これは、成長期の運動の仕方とケアができてなかったために生まれた現象の1つです。
では成長期においてどんな栄養を摂取すればいいか。全部、必要ですが、一番のポイントは骨の成長に関わる栄養素です。すぐに思い出す栄養素と言えばカルシウムでしょう。もちろん骨の強度や硬さ、密度を高める上で大事ですが、実はタンパク質が重要なのです。
骨自体を伸ばしたいならタンパク質がないと伸びません。骨の枠はコラーゲン繊維というタンパク質からできているからです。そして、骨の中に詰まっているのはカルシウムをはじめとするミネラル類です。骨=カルシウムと思い込んでいるケースが多いですが、タンパク質も重要である、ということを認識してください。
それと大切なこととして、『タイミングを逃すな!』です。言い換えれば、骨が伸びるタイミングを逃さない、です。骨の形作りはタンパク質、硬さと強度はカルシウムやビタミンCなどです。これが十分であれば、欠けない骨というかしなやかで丈夫な骨になります。
タンパク質だけをたくさん摂ればいいか、というとそうではありません。例えば、体内でタンパク質が入ってくるのと同時にカルシウムも必要性が増します。その時に、いつもと同じくらいしかカルシウムを摂取していないと、足りないことと同じ状態になります。そうすると、足りない分を補おうとして大切な骨からカルシウムを借りてきます。一度借り出されたカルシウムは骨に戻ることは出来ず、密度の低い弱い骨になってしまいます。

中学生になって発生する成長痛やオスグッド病も、食事の栄養バランスが悪いことに起因しているとも言われています。ですから、タンパク質・カルシウム・マグネシウム・ビタミンC、それとタンパク質の合成に不可欠のビタミンB群をバランスよく摂取することが大事です。その際、ポイントとして1日3回の食事とおやつなどの補食にもこれらの栄養素が入ってものを選ぶようにしましょう。
タンパク質は1回にたくさんの量を消化吸収できません。ですから一度にたくさん摂らず、分けて摂るようにします。しかもしっかりと噛むようにして食べれば、消化吸収もさらによくなります。もう1つは動物性と植物性のタンパク質を同時に摂るといいです。食品によって含まれるアミノ酸の種類と数が違うからです。
以上のことを踏まえ、理想に近い食品が牛乳をはじめとする乳製品です。特に骨や筋肉の形成のことを考えると、乳タンパクは大豆タンパクより吸収速度が速い。しかも筋タンパク質に含まれる必須アミノ酸の約35%を占めるBCAAも多く含まれているからです。
肉や魚のような固形物ですと食べる量に限界があります。しかし、牛乳の場合、あと一口といった場合でも、水分ですから身体に大きな負担をかけずに摂取できるメリットもあります。リスクを小さくしてリターンを高くする。その理想に叶っているのが乳製品です。
他にも神経を鎮静する働きもあり、スポーツ選手には絶対欠かせない食品です。