これで君も柔道博士
第11回:“すね当て”サポーターはじゃまにならないの?
Q 最近は、足のすねに、“すね当て”のようになっているサポーターを着けている選手が多くなっているように思います。これについての質問です。これを着けていると、足がぶつかった時に痛くないのだろうと思いますが、着用について特に規則はないのでしょうか? それから技術的なことですが、これを着けることによって自分の技の感覚がズレるようなことはないのでしょうか。例えば、内股や大内刈りを掛ける時にじゃまに思えたりしないのかな、と思ったりします。教えてください。
A 脚を覆うサポーター等の着用に関する規則ですが、相手に危害を与え得るか否か、という観点で、「規定」があります。先ず国際規定の方を見てみますと明瞭に、「第27条禁止事項と罰則 反則負け(重大な違反)第34項 硬い物質又は金属の物質を身につけていること(覆っていてもいなくても)」と成文化されています。これは、例えばヒザ関節を保護する大きなサポーターがありますが、その内部、特に側面に硬い物質や金属が入っていたりすると、この条文が根拠となり、「反則負け」が適用されました。ですから、サポーターの着用について言えば、「硬い物質又は金属の・・・云々」の規定に触れない、通常、布製の相手の体に危害を及ぼさないような物ならばよいでしょう。
講道館柔道試合審判規定の方を見てみますと、やはり、「5.禁止事項 第35条3.『警告』又は『反則負け』(32)相手の体に危害を及ぼしたり、柔道精神に反するようなこと」があるので、もしサポーター等を着用する場合、その中に硬い物質や金属等が入っていれば危険なので、審判員はこの「35条」を適用するでしょう。
今日、競技スポーツのルールの精神は、生命尊重安全第一であり、競技は正々堂々の施技にあります。ゆえに相手に危害を及ぼすようなこと、さらにその疑いのあること(もの)等は、スポーツの発展を阻害こそすれ、向上させません。論外の外ですね。
次にサポーターを着用することによる技術的影響ですが、程度と慣れの問題と言っておきましょう。すなわち自身の脚を保護すること自体は許されるでしょうが、度を越えた分厚い物や柔軟性に欠けた物等では、おっしゃるように施技動作にマイナスの影響を与える可能性大だと思われます。下穿の空きが全長にわたって脚との間に10〜15cmの余裕が無いほど分厚いサポーター、包帯等を着けていると、「服装」の規定に触れ、違反になります(国際規定第3条e、講道館規定第2条3)。適当な物で、なおかつそれが体の一部と化しているくらい慣れてしまっているものであれば、これはもう離せないでしょう。そうなるとかえってサポーターをしない方が欠落不備を感じ、心理的不安を招き、施技動作にマイナスの影響を及ばす可能性大でしょう。技術向上のために自分にとってどうすることが一番適切なのか、何が最も有効なのかを熟慮し、相手には危害を与えないこと。これが柔道精神の大変重要な部分ではないでしょうか。
回答/村田直樹(全柔連教育普及委員長、講道館柔道資料館)
近代柔道2007年2月号掲載

近代柔道