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テクニカル・セミナー Technical Seminar
第17回:内股<前編>
 長井淳子3段の得意技の一つに右内股がある。スピードに乗せてのこの技で長井3段はいくつもの貴重な勝利を収めている。その裏には釣り手、引き手の特徴的な使い方があった。今回は相手が右の場合とケンカ組み手である左の場合を紹介してもらう。
講師 長井淳子(ながい・あつこ)
74年1月14日、埼玉・上尾市生まれ。父・孝光さんの手ほどきで小2から柔道を始める。上尾高−埼玉大−埼玉大大学院修士課程修了。98年コマツ入社。00年12月現役引退。01年9月から02年9月までJOC在外派遣研修員として留学。現在コマツ柔道部コーチ。
主な優勝記録は、91年高校選手権。93年全日本女子強化選手選考会。93〜95年全日本体重別選手権。94、97、00年フランス国際。95、00年アジア選手権。97東アジア選手権など。

自分右組み、相手右組み
 自分の右釣り手は相手の左前襟をとります。相手が自分より背が低い場合は奥襟の時もあります。左引き手は相手の肘関節の上。内股の場合、崩しがうまくいけばほとんど技は掛かりますから、崩しは慎重かつ大胆にしましょう。
 まず、動きの中で相手を押します。これは相手と自分の間に距離を作るためです。そうすると相手は押し戻そうとするので、これに乗じて釣り手、引き手で相手を下に押し付ける様な感じで抑えます。
 相手は反発して上に上がろうとします。この瞬間が技をかけるチャンスです。釣り手は思い切って上に釣り上げ、引き手も同調させながら相手を引き上げます。この時、相手がつま先立ちになっていれば理想的です。
 自分の右足を相手の両足の真ん中前に踏み込み(相手の両つま先と自分のつま先を点で結ぶと二等辺三角形ができるように)、左足をすぐ後に継ぎ足します。あとは右足で跳ね上げます。私の場合、右足で跳ねるというより左の軸足のバネを使って跳ね上げる感じで深く入りました。
 踏み込みが浅いとケンケンになりがちですが、私は下半身が弱くケンケンは苦手でした。ですから、一発で投げられるように相手の重心の真下に入り、跳ねていたのです。また、跳ねる相手の足は右足です。左だと長身の相手にはこらえられたりして結局ケンケンになってしまうからです。
 釣り手は引き上げながら、引き手で引き回すようにしながら下に落とし相手をコントロールします。



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技術秘話
数百本の打ち込みをして、軸になる技にした
 大外刈りと同様、この技も大学3年生の頃から使い始めた技です。埼玉大の野瀬清喜監督の得意技でもあったこの技を身につけたいと思ったのは、「一本」を取れる技だったからです。
 その頃フランス国際などでは優勝したりしていたのですが、軸になる技がないことに悩んでいました。田村亮子(現、谷亮子)選手は背負い投げ、大外刈り、払い腰等「一本」を取れる技を持っていましたが私はそういうのがなく壁にぶち当たっていたこともこの技を習うきっかけになりました。野瀬先生に打ち込みを見てもらい、練習が終わってからも何100本と打ち込みを繰り返し練習しました。この技が何とか使えるようになったのは2、3年してからです。下半身が弱いので打ち込みと合わせて筋力トレーニングもやって自信もつけました。
 98年にコマツに入社したのですが、社会人になってからの方が得意技と言えるようになりましたね。00年のフランス国際の決勝でジョシネ(フランス)を破った技はこの内股です。

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