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ベースボール・ゼミナール

第4回:捕手編 捕球から送球までを早くするには? その1

解説 土井 淳

【問】
キャッチャーをしています。よくコーチに「ボールを捕ってから投げるのが遅い」と注意されます。どんな練習をしたらいいのでしょうか。

【答】
 この場合「投げる」というのは、投手への返球と、盗塁の際の二塁送球のスローイングと両方が考えられます。さて、どちらに関する質問なのでしょうか? まず前者として回答します。

 プロ野球などでは捕手もたくさんの投手のボールを受けなくてはならず、それぞれ投手によって投球のリズムがあります。速いテンポでどんどん投げる人もいれば、逆にのんびりした調子で投げる人もいます。それぞれのリズムに合わせていく必要があります。しかし質問の人のようにまだ中学生くらいの野球では、プロのようにチーム内に何人も投手がいるわけではないでしょう。相手にする投手はだいたい一人か二人で、その投手に合わせればいいのです。

 そうなると、あまり早くなく、あまり遅くもなくという感じになりますね。投手というのは、投げた後にあまりにも早くボールが返ってくると、それに合わせて投球がせわしなくなるものです。投げた後に体勢が崩れたりすることもあるので、一つのプレーが終わった後に立ち直って、そこにボールが返ってくるくらいの間隔が理想でしょう。その間に、サインを見て投げる。そこには投手独自のリズムがあって、サインが出たらすぐに投げる人もいれば、サインを見て自分の中で何かしら考えて、そのボールの投げ方をイメージしてから投げる人もいます。でも、それは投手のリズムであって、捕手がそれを左右してはいけないのです。

 大事なことは、技術的なものも含めて、やはりバランスとリズムです。それは人によって違うのですから、どんなタイミングが一番良いのか、日頃の練習や試合の中で捕手は呼吸をつかんでおく必要があります。やはりバッテリーというのは投手中心です。投手がいかに自分のタイミング、自分のリズムで気持ちよく投げられるか。これがより良い投球を引き出す元になるわけです。

 また、リズムというのは一つの形があるので、良い回転をしている時にはどんどん投げさせたらいいでしょう。しかし連打されたり、エラーが出たりして、リズムが崩れることがあります。そういう時には、捕手があえてリズムを変えてあげる必要が出てきます。

 打たれるということは、相手(打者)のリズムに入ったわけですから、今度はその相手のリズムを壊さなくてはならないのです。そこで少し間をおいたりして、相手のリズムを壊して、またこちら側のリズムに戻して行く。これは捕手の重要な役目の一つですね。具体的な方法としては、立ち上がって、二、三歩前に出て、声を掛けたりしながら返す。こんなささいなことでも、十分に間が作れるものなのです。このような冷静な投手に対するハンドリングが捕手には必要になります。

土井 淳(どい・きよし)
1933年6月10日生まれ。岡山県出身。56年に大洋入団、68年に現役引退。80〜81年は大洋監督、85年阪神コーチ。通算成績は1138試合、508安打、23本塁打、176打点、打率.215

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